Tecの路地

現役理系大学生が、趣味のこと、ガジェットレビュー、写真、お気に入りのお店などについて、雑記的に記していくブログ。

【2019更新】ロングセラーイヤホンまとめ|変わらないモノにはワケがある。

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ここ数年、かつてない速度で新しいイヤホンが登場し、そして消えていっている。
 "安かろう悪かろう" と言われてきた中華イヤホンも、最近はどんどん質が上がってきており、日本製品を凌駕するものも少なくない。

でも、そんな生産と消費のサイクルの中で、常に売れ続けている、変わらないイヤホンが存在する。

変わらないのに、売れている。

「ロングセラー」「定番」「基準」「入門機」
そういう風に呼ばれるイヤホンは、熱狂なマニアからは敬遠されがちだ。

でも、長く多く愛されるからにはそれなりの理由があると思う。

今回は、長く愛される良いイヤホンたちを紹介していこう。

不朽のモニターイヤホン "SHURE SE215"

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SHURE イヤホン UNIシリーズ SE215

2011年発売のこのイヤホンは、言わずとも知れたイヤホン界の入門機であり、多くの人がこのイヤホンから沼にハマっていく。
神がかり的な装着感と、ステージユースの遮音性がウリだ。

このイヤホンの特徴をまとめると以下のような感じ。

  • 文字どおり "最強" の遮音性
  • 耳に刺さりすぎない音質
  • 圧倒的装着感

このイヤホンは、音を通すところ(音導管)が一般的なイヤホンに比べて細いため、耳に装着したときに、非常に異物感が少ない。

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音の傾向は、 "フラット"
もともとが業務用ゆえに、のびやかな高音も、地鳴りのような低音も、鮮やかな中高音もない。
しかし、すべての音を解像感良く、しっかりと聞かせてくれる良いイヤホンだ。

最近流行りのハイレゾは対応しておらず、ひたすらに堅実なイヤホン。
壊れにくく、長く愛用できる逸品だ。

初めて高級イヤホンを買いたい人には、全力でオススメできる。
いい意味でフラットなこのイヤホンをしばらく使うと、 "自分はどんな音を求めているのか" ということがよくわかる。

他の高級イヤホンを買う前に、自分の中に基準を作れるイヤホンだ。

SE215のライバル的存在 "Westone UM Pro10" 

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Westone ウェストン UM Pro10 ユニバーサルイヤホン 1バランスドアーマチュアドライバ IEM WST-UMPRO10

SHUREのSEシリーズとよく似たこのイヤホンは2013年にWestoneというメーカーからリリースされた。
何度かデザインがブラシュアップされており、上のリンクは2017年に変更された最新デザインモデルだ。

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ライバル機である "SE215" と決定的に違う所は、音を出すパーツが "バランスド・アーマチュアドライバ" と呼ばれるものであることだ。


このドライバはSE215や一般的なイヤホンに搭載されている "ダイナミックドライバ" とは、そもそものルーツが異なる。

 "ダイナミックドライバ" は、スピーカーなどに搭載されている円形の振動版を、イヤホンサイズに小さくしただけのものだ。
それ故に原理も分かり易く、作りやすいため、安価なイヤホンにはダイナミックドライバが搭載されていることが多い。

対して、 "バランスド・アーマチュアドライバ" は、もともと補聴器用に開発された、 "人の声を聴くことに特化したドライバ" だ。
人の声を聞き取るためのドライバなので、特定帯域の再生には非常に優れており、異様なほどの解像感がある。
逆に、超低域の再生は苦手としている。

このイヤホンは、SE215ほどには解像感良く低音を再生することはできないが、ボーカル以上の音域については、SE215よりもはるかに細かく聞かせてくれる

比較的ウォームな音質なので、聞き疲れしにくいのも良い。

絶対的基準となりうるモニターイヤホン "SONY MDR‐EX 800ST"

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SONY INNER EAR MONITOR MDR-EX800ST

あのSE215より1年早い2010年に発売されたダイナミックドライバを搭載したSONYのモニターイヤホン "MDR-EX 800ST" は、8年以上たった今でも、ミュージシャンを中心に人気を誇る。

音楽をやっているならだれでも知っている、スタジオモニターヘッドフォン "MDR CD900ST" のイヤホン版とも呼ばれている。

このイヤホンはいわゆる "SHURE掛け" という言葉を作り出したSE215よりも以前に発売された耳掛けイヤホンだ。

さすがにSE215やUM Pro10ほどの遮音性はないが、8年以上前に発売されたとは信じられないほど、良い音を鳴らす。

その音質は各所で絶賛されており、以前視聴したとき僕自身も非常に感銘を受けたほどで、財布にお金があったらならその場で買っていただろう。

いやしかし、本気で音楽やるなら、是非とも日頃から使う "絶対的な音楽の基準" として欲しい所だ。

10年前の超解像イヤホン "Etymotic Research ER-4S"

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Etymotic Research イヤホン ER-4S-B

このキノコのような、少し特徴的なイヤホンは、なんと2008年に発売された古強者だ。
このイヤホンは超小型の筐体に、 "バランスド・アーマチュアドライバ"を搭載したイヤホンで、上の3機種と同様ステージモニターを目的として開発されている。

3段フランジと呼ばれる特殊なイヤーピースを、耳の奥深くまで挿入し、鼓膜にダイレクトに音を伝えることができる。

挿入する耳の深さが深さなため、なれるまでに時間がかかるが、慣れてしまえばこちらのモノ、ほかのどんなイヤホンよりも静かな空間と、超解像感のフラットな音を聞くことができる。

その解像感ゆえ、このイヤホンで音楽を聴くと、アーティストの息遣いや細かな音色、丁寧に重ねたコーラス、あらゆる音が新鮮に感じる。

けして、オーディオの玄人が好むような、深く、まったりとした音ではない。

しかし、まさにモニター、ひたすらに真実のみを描くようなその音色は、多くの人を魅了してやまない。

多少値は張るが、その価格以上の素晴らしい音楽の世界を体験できるはずだ。

このイヤホンの後継として、ER4SRが存在するので、新しいものが好きな方はどうぞ。

また、ER4SRの廉価版としてER3SEが存在する。
こちらは1万円台で購入できるので、安価にエティモティックリサーチの音を手に入れることができる。

まとめ

今回は、最低5年、最大10年前のイヤホンを4機種紹介した。
どのイヤホンも非常に個性派で、どの機種を買っても満足できるだろう。

そして皆さん、お気づきだろうか?

今回紹介したイヤホンはすべて "モニターイヤホン" である。

ということに。
つまり、長く多く愛されるイヤホンはすべて、音楽を聴くことを目的としておらず、音楽を作ることを目的として作っている。

ただ、良い音でききたい。
音楽を聴くためのイヤホンは、アーティストが作った音楽を、歪めてしまっているのかもしれない。

悪く言えば "味付けのない音" だが、真の意味では "歪められていない音" だ。

皆さんも、是非、モニターイヤホンを買って、アーティストと同じ視点で音楽を聴いてみてはどうだろうか?