説明が下手くそすぎる過去の僕へ|「頭のいい説明は型で決まる」を読んだら褒められたよ!
「お前は何が言いたいのか、わからない」と言われた。
僕は、大学2年生のときに所属するサークルで「部長」の役割を担っていた。
サークルの「部長」というのは、不定期に訪れるイベントごとや、部内での活動のとき、
- 部内会議を開く
- 部員に指示を出す
- 外部の方と連絡をとる
という、まあ「ごく当たり前」ことをやらなければならない。
しかし、そんな"当たり前"な仕事でも、高校生の時までスポーツ一本で、個人競技をやってばかりの僕には初めてのこと。
「挑戦してみたい!」
という気持ちだけで、見切り発車で請け負った部長の役割は、想像以上に重たいものだった。
「人をまとめる立場」を一度も経験したことのない僕にとって、部員に”わかりやすい”指示を出したり、”わかりやすい”説明をすることは非常に難しいことだったんだ。
サークルの部長になって数か月たったこと、僕は友人を伝ってあることを聞いた。
「お前のとこの副部長が言ってたんだけど、お前が何がしたいのか全く分からないし、指示を出されてもどう動けばいいのかいまいち伝わらない。1人で空回ってるって。」
まあ、非常に衝撃を受けた。
ショックだったし、自分なりに頑張っているつもりだったのに、それらがすべて否定されたような気持ちだった。
それから1年半「説明が上手くなるための本」等をいろいろ読んだり、ネットで検索したりして、実践してきた。
そして今年の夏、大学のオープンキャンパスで外部の方に研究室で、ちょっとした実験の実演と説明をやる機会があった。
そこで、今まで学んだことを生かして説明頑張ろう!と意気込み、4年生の先輩方に負けじと説明をしていた。
すると、休憩中や、オープンキャンパスが終わった後に、
「〇〇君、説明うまいね、来年も頼むよ。」
「そういう風に説明したら分かり易いんやな、勉強になるわ!」
「〇〇君が居てくれたら、俺らめっちゃ楽できるわー!」
と言われるくらいには、説明がうまくなった。
(同居人に言わせれば「無意識の時は今もとてもわかりにくい。」らしい。)
今回は、そんな僕が
「この本は分かり易くて、ためになったなぁ。」
と思った本を紹介しようと思う。
「頭のいい説明は型で決まる」
僕が読んだ本の中で、非常に分かり易く、僕が理解しやすかった本がこれだ。
この本の著者である犬塚壮志さんは、本人曰く、大学時代に予備校講師をしていたとき
「どうしてオレは一生懸命説明しているのに、生徒たちはわかってくれないんだ!」
と、難しいことを難しく説明してしまうダメ講師だったらしい。
しかし、あるとき「生徒に馬鹿にされてもいいから、専門用語は極力使わずに小学生でもわかるような言葉で話した」ところ、当時持っていた生徒に「今日の授業はとても分かり易かった」と言われた。
それをきっかけに、相手に分かり易い説明とは何か?と必死で考え続け、最終的には、社会人になって東大生を多数排出する予備校講師になった。
この本では、著者がそれまでの過程で獲得した「説明のノウハウ」を分かり易く説明してくれる。
説明が苦手な人にうってつけな本だ。
頭がよくなるほど、説明が下手くそになる?
このような書き方をすると、語弊を招くかもしれないが、僕にはこう考えるのが最も腑に落ちた。
本書の中で「学力レベルと説明力のレベルは別次元」と言われている。
人に何かを説明してわかってもらうためには、相手の理解できる範囲で説明をしなければいけない。
でも、勉強して知識が増えていくごとに、専門用語や、その分野ならではの言い回しを”無意識”で使えるようになる。
そして、誰かにそのことを説明するとき、無意識のうちにそれらの言葉や言い回しを使ってしまう。
説明する側はどんなに分かり易い説明をしたつもりでも、聞く側はチンプンカンプンになるわけだ。
もちろん、説明することも学んでおけば、「頭がよくなるほど、説明が下手くそになる」ことは無い。
しかし、特定の分野について深く学び、学びと同時に「素人レベルに人に分かり易く説明する機会」なんてそうそうないわけで、多くの人が、ついついわかりにくい説明をしてしまうというわけだ。
僕は、普段から学業・趣味のどちらも、自分にできる範囲で努力しているつもりだ。
そして偶々、今いる大学では上位と言われるくらいには「勉強ができる」。
また、趣味に関しても、ネット上では未熟者だが、リアルの僕の周りで、全力で語り合える人間はそんなにいない。
そのため、僕が、僕の理解している言葉で”僕が分かり易いように”説明すると、周りの人間には当然理解できない。
そのことに気づかないままサークルの部長を務めていたわけだが、まあ当然、僕がどれだけ全力で力を注いでも、全力でから回るだけだった
説明が分かり易くなるIKPOLET法
本書では”説明を分かり易くするため型”として著者が「IKPOLET法」と呼ぶ、独自の説明方法について説明されている。
この方法は、
Interest:興味を引く
Knowledge:聞き手の知識・認識にアクセス
Purpose:目的を示す
Outline:大枠を見せる
Link:つなげる
Embodiment:具体化を見せる
Example:事例を見せる
Evidence:証拠を見せる
Transfer:転移
これらの頭文字(Eに関してはまとめて)をとって「IKPOLET法」となる。
この型にあてはめて説明すると、分かり易い説明になる。
個人的には型、というよりは分かり易い説明とするための”パーツ”という認識を持った。
まあ、そこは実際に読んで各人で解釈すればいいと思う。
まとめ
もっと早くこの本を読んでいれば。
読んだとき、そう思った。
馴染みやすいイラストと共に、非常に分かり易い文章で綴られている。
文字はちょうど読みやすいフォントサイズで、本を読むことに慣れていれば、1~2時間で読み終われる程度の読みやすさだ。
イラストも、よくあるPowerPointで作りました!って感じのデジデジした感じ(デジタル感のある)の絵ではなくて、むしろアナログチックな、それでいて見やすい。
「俺・僕・私は説明に自信があるぜ」
って人でもない限り、この本はあらゆる分野の人に読むことをお勧めする。
誰かに分かり易く説明する能力は、コミュニケーション能力に直結し、どんな場面においても必要だからだ。
Amazonで1620円で買うことができるので、説明が苦手だ...って人は今すぐ買うといいと思う。